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Half of Bean分室

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はうこま!

ステバキファンならみんな大好きハウリングコマンドー時代。
だけど気になるのが戦前のアメリカの軍隊のあれこれ。
戦時中のめりけんの兵隊さん達はどんな暮らしをしていたのかしら。前線に行くと行ったきりなのかしら。時々は街に出て羽を伸ばすとかあったのかしら。お給料はどんなふうにもらうのかしら。点呼は一日何回あるのかしら。
そっと夜抜け出して、とか可能なのかしら。(だんだん疑問が確信に近づいてきたぞ)
じょ、上官命令だったらお泊りとかあるかしら!?

…そんなことを真剣に考え始めると、近現代史の勉強を一通りしてから出ないと手が付けられないハウコマ時代。よくわかんないけど糸吐いたり宇宙からハンマーもって生身で飛んできたり、のびのび好き放題が魅力のまーべるわーるどだというのに!!

しかし今日もやっぱり歴史の勉強すすまなかったので、色々適当のまま書き散らして行くことにします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

107連隊の中で、「バーンズが結局誰のモノになるのか」というのは実のところ前々から結構な賭けの対象だった。
軍隊は基本的に禁欲生活だ。うかつに遊んで病気をもらって来れば、兵力が落ちる上に治療コストまでかかるとあって、規律は年々厳しくなり、休日に繰り出す歓楽街でも色っぽい界隈は立ち入りが禁止されていた。
当然ながら欲求不満は募る。 結果として生意気で目立つ新人や、多少なりとも見目のいい若い兵士は、ターゲットになりがちだった。
ジェームズ・ブキャナン・バーンズはそのどちらにも当てはまる男だったので、古参の兵士の中にはそうした態度を公然とみせている者が複数いた。

 しかし勢力争いにせよ、欲望の発散にせよ、そうした風潮に否定的な兵士がさりげなく逃げ道を作ってやることも案外に多く、目端の利くバーンズは差し迫った身の危険を感じているのかいないのか、飄々とした顔で微妙な場面をひょいひょいとすり抜け、無事に日々を過ごしていたわけだ。

だから敵軍との戦闘で連隊の大半が捕虜にされた時、動ける状態の兵士が敵軍の労務を強制された中、バーンズが他の数人と共に隔離されていったとき、
「ああ…」
と思ったものは少なくなかった。見栄えのいい奴にはそれなりの災難がふりかかると。
結果的にそれは見当違いだったわけだが。

 
その後救助が現れ107連隊は解放され、バーンズに目を付けていた古参兵には生きのこった者もいたのだが、いずれにせよ賭けは自然消滅した。
人質解放の主役であるキャプテン・アメリカが、帰還後あからさまにバーンズを囲いこむようになったからだ。
口実は色々だが毎夜のように部屋に呼びつけ、バーンズもいそいそと出かけている。その後一時間も二時間も部屋を閉め切り、何をしているのか聞くだにばかばかしい。

バーンズを何かと庇ってやっていた一部の兵士達は多少ならず拍子抜けしたものだが、上官であるところのキャプテン・アメリカは、めっぽう固い男で、お気に入りの軍曹に便宜を図るようなことはなかったので、周囲もやがて許容範囲の出来事として気に留めなくなっていった。


だが実際のところの上司の部屋で夜ごと繰り広げられている光景は、周囲の想像とかなり乖離がある。

「あー、新作映画結構かかってるじゃねーか、くそういいなあ」
「ふうん」
バッキ―はごろりと上司であるロジャース大尉のベッドに転がって雑誌をめくり、まだ仕事が終わらないキャプテン・アメリカは生返事を返しつつ、壁際に備え付けられた机で書類を読んでいた。
振り向かない相手を気にもせず、バッキ―はまたページをめくるとうめき声を上げる。
「ドーナツにストロベリーサンデーだってよ。クリームなんかしばらくお目にかかってないぞ」
「腹が減ってるならそこの机にクッキーがあるぞ」
「まじか」
聞くが早いかバッキ―は腹筋だけで起き上がる。
「お前は?」
「いい」
短い会話の後は、しばらくはぽりぽりとクッキーを食べる音と、雑誌をめくる音だけが部屋の中に響く。



「まったくなあ…」
不意に転がったままバッキ―が呟くのに、スティーブは振り向かないまま返事をする。
「なんだよ」
「絶対生きて戻って、お前の顔をもう一回見るぜと思ってたのに、お前の方が戦場に来るんだもんな」
「僕はやっと念願がかなった」
ぼやくような声は受け付けず、ふふんと鼻で笑ってやる。
「次の休暇はブルックリンに帰ろうと思ってたのに、お前いねーじゃん」
その言葉に思わず振り向くと、困ったようなふて腐れたような顔をしてこちらをみる幼馴染がいた。
安全圏にいて待ってろ、という言葉は今も昔もノーサンキューだ。
だが、休暇を自分と過ごそうと思っていた、というのは何だか急に胸にぐっときた。なので自然と柔らかい声が出てしまう。
「その時は休暇を合わせて一緒に戻ればいいだろ」
「だな!」
にかりと笑う顔に笑い返して、もう少しだと書類に向き直った。

部屋で過ごすといっても、毎回似たり寄ったりだ。
何をするわけでもないが一緒にいる、意識はブルックリンの日々の延長だ(だいぶ違うが)。ただ軍務の合間に取れる時間はやたらと短くて物足りず、せめてなるべく毎日と、二人ともが思った結果、周囲からの誤解は日々深まっていた。
実のところスティーブは薄々周囲の雰囲気に気付いてはいたが、疚しいこともないので放っている。上司のベッドに転がり、キャプテン・アメリカへの差し入れをバリバリ食べる姿が他人に目撃されるとやはりよろしくないので鍵はやっぱり必需品だ。

そして消灯前の点呼時間が近づくと、乱れた髪と服を整えて大尉の部屋を出てきた軍曹は敬礼をして自分の部屋に戻っていく。通りかかったものがちらりと覗けば、消灯前だというのにベッドは乱れ、そして出ていく軍曹の背中を見送る大尉の顔は、何となくにやけている。

誤解は深まれど解けるわけもなかった。



ハウコマやっぱり難しいので終わる。
ハウコマ時代は夢がありすぎてこみ上げてまとまらないよ

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