忍者ブログ

Half of Bean分室

洋画、洋ドラマ色々について腐的にブツブツいうファンサイト

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

(仮称)バッキ―過酷リレー その1

唐突ですがリレーが始まります。
当然ステバキです。テーマは過酷・かつハピエンです。
ウィンソルどうしたー、ムパラの原稿どうしたー、と自分に疑問を投げかけつつ、ご一緒してくれるのはtwinkle neoteny の咬さんです。巻き込まれてくれてありがとう!


・・・・・・・・


最初、スティーブは気が付かなかった。

当初はものものしかったウィンターソルジャーについての取り調べが、バッキ―が自身の意識と記憶を取り戻し始めてから雰囲気が変わり、公開裁判が行われるはずだったものがいつの間にか予定から消えた。


だから様子を見に行ったある日に、
「調べも一区切りついたから、しばらくは休養しろってさ」
と、バッキ―が言いだしたことをそれほど不自然とは思わなかったし、
「休暇中はここにいなくていいらしんだが、しばらくお前のところに泊めてくれないか」
と頼まれたのはまさに願ったりだった。

「宿代がわりに靴磨けよ」
と口が動いたのは思わずだったが、幼馴染にはちゃんと通じたようで、
「この年で床に寝るのかよ」
と返してきたので、スティーブは嬉しくなって声をたてて笑った。周囲が驚いて振り返ったが、気にしない。バッキ―と家に帰るのだ。笑えて当たり前だ。


スティーブと違って、70年の間細切れに目を覚ましていたバッキ―は、スティーブよりも現代に慣れていても不思議はなかったが、起きてすることはひたすら薄暗い戦闘行為だったらしいので、ある意味スティーブよりはるかに現代の生活に疎かった。


帰り道で買い物に寄ったコンビニで、インスタント食品の多さやカードでの買い物にバッキ―は戸惑い、スティーブはほんの二年ほど前の自分の混乱を思いだす。
「大丈夫だ、70年丸々眠ってた僕でも何とかなったんだ。分からないことは教えるし、ゆっくり慣れればいいよ」
そう言うとバッキ―は、
「まあ、よろしく頼む」
と、途方に暮れたように笑った。


バッキ―の休養中は、まさにナターシャに『新婚さん』と揶揄されるのも無理ない日々だった。
スティーブは仕事もありさすがにずっと付き添っているわけにも行かなかったが、終業時間になるとさっさと席を立ち、まっすぐに自宅に向かった。
バッキ―はスティーブの部屋の周辺をぶらぶらしながら過ごし、
「宿代だ」
と簡単な食事を作ったりした。
週末になると二人はあちこちに出かけた。スティーブが思いつく場所のこともあれば、バッキ―が行ってみたいと言った場所のこともあり、それも尽きると周囲の人間は休憩時間に真剣な顔で観光ガイドを読むキャプテン・アメリカの姿を見るようになった。
「新婚だな」
「熱々よね」
周囲の冷やかしはますます強くなったが気にしない。

現代では同性での結婚も認められる州があるのだと教えると、バッキ―は真面目な顔をして、
「世も末だな」
と呟いた。なにせ21世紀なのだ。

休暇はあまりにも平和で幸せだった。バッキ―は良く笑うようになっていた。

だから、バッキ―がその後、
「俺にもできることがありそうだから協力することにした」
と言い出したとき、スティーブは少しばかり油断していたのだ。もうウィンターソルジャーの過去は許されたと。


バッキ―はその後しばらくはスティーブの部屋と軍関係施設を往復する生活をしていたが、やがて少しずつ外で過ごす日が増えてきた。
そしてスティーブが遠方のミッションに狩りだされた時期と同じくして、
「俺も仕事だ」
とバッキ―も数日から数週間姿を見せなくなることが多くなった。

「バッキ―は何の仕事をしてるんだ」
そう尋ねても、
「悪いが機密事項だぜ」
と交わされる。
スティーブ自身の任務もそうであったので、それだけで疑う理由はなかったが、それでも次第に疑念が強くなっていったのは「匂い」というしかない。

任務は違っていても、似たような場に送られていれば回数を重ねるうちに顔を合わせることが自然だ。

そして、バッキ―の行く先とその周辺に注意を配るようになってほどなく、彼の言う「自分にできること」がヒドラ紛いの実験への協力と、アベンジャーズには要請が来ることがない、薄暗い仕事であることを知った。



続く


一応過酷系のつもりなのですが、どーだろう。
咬さんにたーーーっち!

拍手[12回]

PR