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Half of Bean分室

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ウィンソルゲットその3

半端なペーパー書いたけど終わらなかったのでもっかいリベンジ!


・・・・・・・


バッキーを施設から出して、自分の部屋に連れて来るためには、スティーブはかなり強引な手段を使った。正攻法で行っても無理に決まっているからだ。

「あんたがそこまでするとはね」
サムが言ったように、周囲は驚いていたが、構っていられない事態だったのだ。迷っていたらまた幼馴染みを失う。
研究所の白い部屋に閉じ込めても人らしい記憶が戻るわけがない、というのは周囲も認めるところだったが、実際のところ、ウィンターソルジャーではなく、ジェームズ・ブキャナン・バーンズ個人の記憶や人格を取り戻したいと(義務ではなく)願っているのは、誇張でなくこの世でスティーブだけでもあった。
ツテを紹介してくれたトニーはあとから顛末を聞いて頭を抱えていたが、最初の紹介以外は一切関わらせなかったので、迷惑は最小限にできたのではないかと思う。

一方で譲らざるを得ない点もあった。洗脳されていたバッキーの責任は問えないとしても、行動を制御できない暗殺者を自由にするのに反対があるのは当然で、ウィンターソルジャーを無力化する
ための軍の予防措置は徹底していた。スティーブにしても自分はともかく一般人に被害が出たらどうするのかと言われればその通りではあったのだ。
メタルアームは取り外され、ごく普通の樹脂製の義手がつけられた。所在が把握できるよう、ICチップがスティーブが把握しただけでも2つ、おそらくはさらに身体のどこかに埋め込まれた。チップは所在確認と同時に万が一のさい、速やかに動きを止める対策が施されているという。さらには強化された体を一般人並みにするためと、筋弛緩剤の定期的投与が提案されたが、これはスティーブが頑として拒否した。試しに投与を受けたバッキ―が、まともな生活どころか立つこともできなくなったからだ。


記憶は戻る様子がなかったが、一度名前を呼んで以来、会話はできた。
ヒドラのコントロールから離れ、しかし自分を取り戻していないバッキ―は、暫定的にスティーブのことを「指示を与える相手」と自分の中で収めた様子がある。
それはかつての彼を知る身としてはやりきれない思いを生むことではあったが、今の現状では好都合でもあった。

バッキーは無口だったが、収容されている頃ほどの異様な雰囲気ではなく、スティーブが現代の日常生活をあれこれ教えようとするのもすんなり受け入れた。
食べるように促せばカトラリーを使って食べ物を口に運んだし、水分をとるよう言えばフリッジからミネラルウォーターのボトルを取った。
トニーとバナーが悪気なく珍しがっていた入浴についても、習慣をつけさせたので、もうあれこれ言わせない。スティーブは密かに溜飲を下げる思いだった。


数日間は休みを取って部屋で文字通り付きっきりで過ごしていたのだが、いつまでも続けるわけにも行かない。
「バッキ―」
夕食を取りながら口を開くと、向かいで黙々と口を動かしていたバッキ―が黙ってこちらを見た。
「僕は明日から昼間、仕事に行かないといけない」
そう言うとスプーンを置き、目顔で続きを促す。
「僕が帰るまでは、この部屋の中で待っていてくれ」
「わかった」
 あっさりに頷かれるのが何となく物足りず、だがそれは自分の勝手な願望だとスティーブは内心で自分を戒めた。  スティーブの部屋から出た途端、バッキ―は捕獲の対象となるからだ。

 頼むから大人しく室内にいてくれ、と祈りながら出かけたスティーブは、だが思いかけず早めに戻れることになった。久しぶりに出向いたアベンジャーズ基地で、文字通り深刻な事態が起こっていたからだ。
そして帰宅した部屋の中で、外出どころか食事を取っていたテーブルの椅子にかけた姿勢のままで待機しているバッキ―の姿を見て、複雑な気持ちを味わうことになった。
 
 
  
  
  続く
 
だめだ、進まないのでここで切る

 

 

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