忍者ブログ

Half of Bean分室

洋画、洋ドラマ色々について腐的にブツブツいうファンサイト

ウィンソルゲット2

何も考えないまま続ける。でもハピエンを目指す!
・・・・・


その日、バッキ―の反応がいつもと明らかに違った。
スティーブを凝視するのは同じだが、もう少し感情の波が感じられる。
「バッキ―?」
いつものように隣に座りこんだスティーブが問いかけると、ほんの一瞬だが唇が動き、昔のように返事をしそうに見えた。それは実行される前に何かに遮られるように止まったが、見開いた目や微かに動きかける口元は誰からも見て取れた。

「何があったんだ?」
「バイタルには変化ないんだけどね」

カメラ越しに中を見つめる科学者二人は首をひねる。
投薬、昨日行われた検査、栄養素、スティーブの言葉、なにを取ってみても変化のきっかけは分からなかった。

「あとで今日の各種数値を確認してみよう」
バナーが言うのにトニーは頷く。スティーブがいる間はできるだけ放っておく、というのがウィンターソルジャー取り扱いの基本だった。科学も医療も知らないくせに記憶力だけはいいキャプテン・アメリカは、友人の身体に施されたあらゆる検査、あらゆる治療を記憶している。もちろん彼が知りえる範囲のものに限ってだが。
そして相手に悪気があろうとなかろうと、友人が科学的好奇心の対象になることに恐ろしいほどに敏感かつ厳格な態度で一貫していた。
「僕は自分から進んで実験体になったんだから構わない。だが彼は違う。彼は国のために兵士として戦い、敵の捕虜になって強制的に身体と人生を変えられた被害者だ。そういう扱いをするな」
キャプテン・アメリカに正面切ってそう言われて、反論できるものがいるだろうか。いや無い。取りあえずこの場には。

だが幸いにもスティーブ・ロジャースはあらゆる意味で忙しい立場だったので、一日中ウィンターソルジャーの傍についているわけではなかった。なので人道的非人道的の基準はさておき、あらゆる検査類はスティーブ・ロジャースの不在時にまとめて行われるのが常だった。(もちろんことに当たるのは専門の医療チームだ)
 
  だが、その次の日はウィンターソルジャーの反応は一昨日以前と同程度のものに逆戻りしていて、周囲はさらに首をひねった。
「なんなんだ一体」
一方、スティーブは思い当ることがあるらしく、何やら考え込みつつ、ナターシャになにやら話しかけていた。



その翌日。入ってきたキャプテンの服装に周囲は一瞬言葉に詰まる。
古風なシャツにネクタイ。そしてサスペンダー。分かりやすく戦前の服装だった。
「それが原因だって?」
顔をしかめるトニーに、スティーブは考え込むように首をかしげる。
「わからない。だが、この間彼が少し表情を動かした日、僕は丸首のシャツではなくワイシャツを着ていた」
「仕立てたのか?」
「まさか。ナターシャにこういった服の売り場を聞いた」
そう言って、いつものようにウィンターソルジャーにあてがわれた部屋の中に入っていく。
「バッキ―」
呼びかけると、部屋の隅にいつものように座り込んでいた相手は、ごく自然な動作で立ち上がった。
「バッキ―!」
スティーブはぱっと顔を明るくして手を伸ばしたが、距離が近づいたところで戸惑ったように止まる。

発語があるかと固唾を飲んで見守っていた観察室では、落胆のため息が漏れたが、キャプテン自身はなにやら納得したように頷きつつ、その日は再び待機状態に入ってしまった相手のとなりであれこれ話しかけて過ごしていた。


そしてさらに翌日。
「…おいなんだ、今週はコスチュームプレイがテーマなのか」
どうしても茶化したいらしいトニーの声を尻目に、カーキ色の軍服に身を包んだスティーブは隔離室に入っていく。
「バッキ―」
扉を開けて入った瞬間、顔を上げたバッキ―が立ち上がった。
「…」
口を開け、何か呼びかけようとしているのに、
「スティーブだよ」
と話しかける。
「スティーブ」
「うん」
    呟いて何か考え込んでいるバッキ―に、スティーブは
「こっちに座ろう」
とベッドに座るよう促した。
「…ああ」
少しの間はあったものの、返事を返し、頷いて座る姿に観察室の面々はどよめく。
 
 
 
「結局何なんだ。コスプレ効果なのか」
部屋から出てきたスティーブに言ったのはもちろんトニーだ。
「コスプレとは何だ」
「いわゆる仮装だ」
「ではこれはコスプレではない。僕自身の昔の服装だ」
「じゃあ回顧プレイだな」
睨みあったままいきなり始まる言い合いにバナーが割って入る。
「いいからトニー。キャプテン、先日の服装もそうなのか?」
「そうだ。ブルックリンにいた頃が、一番彼と過ごした時間は長かった。だが今となるとあの服だと支障があった」
「支障?」
「ブルックリンにいたころの僕は、アースキン博士の血清を投与される前だ。同じ服装をしても印象が違う」
「なるほどね」
反応があったものの、近づいたところで止まったのは、視線の高さが違ったためらしい。
「だから、軍服にしてみた。戦闘時のコスチュームだと、この間の戦いの記憶の方が強いかもしれなかったから」
 
 この反応を根拠に、スティーブはバッキ―に対してより生活空間に近い環境での処遇を主張したが、ことはそう簡単ではなかった。
 
 
こ、ここまで


やはり何も考えず書きだしてはいかんな。
直すかも。後で全面的に直すかも!へたすりゃ一夜のカゲロウかも!!

拍手[10回]

PR