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洋画、洋ドラマ色々について腐的にブツブツいうファンサイト
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貴重な夏休みなのに、せっかく台風直撃がそれたにもかかわらず、一日タブレットゲームで遊んですごしてしまいましたよトホホのホ。
せめて腐的に建設的なことをしようとFAのブルレイを見なおしていたんですが、やっぱり雪山のシーンでキャップがバッキ―を探しに行ってたらなあと思わずにいられません。
ペギーも泣かずに済んだだろうし、ハワードも無茶をしなかったかもしれないし(何かはやったでしょうけどね。天才は発想が溢れちゃうからね)
バッキ―が助かって、スティーブとバッキ―とペギーとハワードでわちゃわちゃしてるシーン見たかったなあ。
「いや、さすがに俺も今度ばかりは死んだと思ったんだが」
医務室で目を覚ましたバーンズ軍曹はへらりと笑い、悪運の強い野郎だと部隊の仲間は笑った。
「しかしキャプテンはすごいな。今後行方不明者が出たらキャプテンに探索隊を率いてもらうといいんじゃないか」
感心した誰かが酒場で冗談半分に言ったが、精鋭部隊の面々は微妙な顔をした。
「まあ、それはな」
「相手によるんじゃねえか」
「同じような条件で俺が落ちたとして、キャップが見つけられたかは分からねえな」
モリタが言うと、おなじくおなじく、と皆で頷く。七〇一連隊がヒドラに捕えられていた時も、ダンサー稼業をしていたスティーブが軍律を破って単身で救出に来てくれたわけだが、そのきっかけは件の幼馴染だった。
もしもの話だが、バッキ―・バーンズが所属していなかった場合、キャプテンが同じように軍律違反をしてまで救出に来たかどうかは謎だ。
「そもそも普通あんな広い範囲で人間一人見つからねえよな」
「あいつらお互い匂いで相手見つけるから」
「なあ」
本人たちにあまり自覚は無いが、相手がいない場所で鼻をくんくんさせながら、「あ、スティーブいたのか」だの「バッキ―ならむこうだ」だのと口走ることがしばしばある。
精鋭部隊の中ではあまりその辺は気にせず行こうというのが不文律になっていた。
「まあなんだ、ダムダムならでっぱった腹で辛うじて見つけてもらえるかもしれないけどな」
デューガンの言葉でテーブルを囲んだ面々はさらに笑い、死神に嫌われた我らがスナイパーのためにもう一杯乾杯しようとジョッキを空けた。
「運が強い、で説明がつくものなの」
人が行きかう作戦室の中にペギーの声に答えるものは居ない。スティーブは命令無視の懲罰として、前々から依頼されていた国債販促のフィルムの撮影に連れて行かれている。美女と子供と共演のシリーズのまとめ撮りだ。
「あいつはまたも同じことをした」
地図を睨みながらフィリップス大佐は苦虫を噛み潰したような顔をしていたが、なぜかハワード・スタークも難しい表情で部屋の中をウロウロしている。
「ハワード、何をうろたえてるの貴方は」
ぴしりとした声にハワードはハッと顔を上げ、周囲を見回して言いよどむ。
「いや別に…」
「ちょっとあちらで話しましょうか」
よろしいですか大佐、と上官を振り返ってから、ペギーは天才発明家の腕をぐいと掴んで脇の小部屋に押しこんだ。後ろから大佐も入ってくる。
扉を閉めると、ハワードは促される前に口を開いた。
「バーンズ軍曹のことだ。左腕が酷く傷ついていたのを知っているか」
「聞いたわ」
帰還を聞いたペギーが医務室に行った時には面会できる状態ではなく、次に行ったときには包帯だらけではあったもののすでに寝台の上に置きあがって笑っていた。左腕は動かないように固定されていたが特に変わったところはなかったように思う。
「スティーブが彼を連れて帰ったときには、ほとんどちぎれかけていたらしい。だが、昨日僕が見たときには微かにだが指が動いていた」
「どういうこと」
「損傷した肉や神経が回復しているんだ。恐ろしく早いスピードで」
「つまり?」
促したのは大佐だ。ハワードは二人に交互に視線を向け、少し言いよどんでから言葉をつないだ。
「バーンズ軍曹は、何らかの方法でキャプテンと同じ血清を投与されている可能性があると思う」
「誰が?」
「ゾラだろうな。七〇一連隊が救出された時、バーンズは隔離されて拘束状態だった。可能性としてはそこが一番だろう。ロジャース大尉にはそんな知識があるまい」
「まあ、調べてみないと断定はできませんが」
大佐が断言するのにハワードも頷く。
その後バーンズ軍曹の回復を待って詳細な検査が行われ、結論としてはアースキン博士がかってシュミットに使った血清から作られた類似の物質だったのではないかということに落ち着いた。
「……なんだって」
それを聞いて顔色を変えたのはスティーブで、
「そうなのか?」
と本人の方は腑に落ちない様子だった。
「それにしては、こいつみたいに目立って筋力アップした気もしないけどな」
そう言いながら包帯でぐるぐる巻きの左手を見下ろす。まだ握ることはできず、軽く五本の指が動くだけだ。
「アースキン博士の昔の血清が元だからだろうな。だが君の左腕があるのが何よりの証拠だ。常人の場合ちぎれた腕は簡単にはくっつかない」
「なるほど。スティーブは背が伸び、俺は傷の治りが早いわけか」
ありがたいけど地味だな。とへらりと笑う横でスティーブがため息をついた。
医者やハワードたちが病室を出ていった後、スティーブは改めて包帯まみれの友人に向き直った。
「バッキ―、本当に身体に違和感はないのか」
「は?ありまくりだぜ。あっちもこっちもズキズキ痛えし動かねえし」
「……他には。手や足にびりびり痺れるような感覚はないか。身体の中で筋肉が裂けるような感じがすることは」
「…さあな。俺としては、あの赤い骸骨野郎と同じになることが一番の心配だ」
「多分、それは無いだろう。アースキン博士は副作用はすぐに出たと言っていた」
「ならいいか。それよりもスティーブお前、そんな副作用が出てたのか。聞いてねえぞ」
「僕のことはいい」
「良くねえだろうが!」
言い合いから手が出るのは珍しくなかったが、数日前まで瀕死だった人間とは思えない力で胸倉を掴まれ、スティーブは咄嗟に手加減できずにバッキ―を引きはがすと寝台に押さえつけた。
「……全く、お前と同じ血清を俺も受けてるならもう少しパワーアップしても良さそうなもんだろうが」
不満そうに見上げてくる顔に、心配やら苛立ちやらをどう伝えたらいいのかスティーブが迷っているうちに、巡回の看護師に見つかり二人してこっぴどく怒られる。
一方で作戦室でも新たな血清投与者の扱いについての会話が交わされていた。
「どうせもともとスーパーソルジャーは増産する予定だった。ロジャース一人で終わっていたが増えたわけだな。純製品ではないし、一人だが」
フィリップス大佐はそう言って話を片付けたが、そうもいかない者もいる。政府からの研究者などが良い例だ。
「ロジャース大尉は実験の際の同意書で、彼の血液や遺伝子については永続的に国家の管理におく旨のサインをしている」
「バーンズ軍曹は」
「なんらかの管理は必要だろう。ロジャース大尉が彼を回収してくれてよかった。血清の精度は違うにしても観察対象が一人しかいないのと複数いるのではだいぶ違う」
戦いの間は貴重な戦力だがその後は。言外の前提に、聞きながらハワードとペギーは期せずして同時に顔をしかめた。
とりあえず切る。
わちゃわちゃまで行きつかない。