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Half of Bean分室

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30日チャレンジ7「コスプレ」

7.コスプレ


またしても虫のいいIFネタですよ。
アベンジャーズが和解してキャップチームも表舞台に戻った未来設定。


・・・・・・・・

部屋に入ってきたバッキ―達の姿を見て、スティーブは目を見開いた。
光沢のあるドレスを纏ったナターシャが思いきりゴージャスなのはいつものことだが、細身のスーツを着せられたバッキ―はボサボサ髪で髭面だった今朝までとの落差が激しい。
髪の毛は短めに整えられ、髭は綺麗にあたっている。光沢のあるグレーのスーツに、アイスブルーの眼が映えていた。
昔よりはるかに体格はがっちりしたはずだが、それでもすらりとしたその立ち姿は『ブルックリンの伊達男』と囃された頃を思い出させる。


広間にいた仲間たちも同様の感想だったようで、振り返ったままで皆口を開けて無言になっている。しばしの間の後、ピューッと誰かが口笛を吹いた。
「見違えたな。ザ・ロックのショーンコネリーみたいな変わりっぷりだ」
「マイフェアレディの間違いじゃないの」
「それはなんだ」
おどけた口調で言ったのはクリントで、訂正を入れたのはナターシャ、バッキ―にはさっぱり話が見えていないらしい。ちなみに見えないのはスティーブも同様だ。
ショーンコネリーはスパイ映画で有名な俳優、マイフェアレディは恋愛映画だ。共通項が見えない。

「大丈夫なのかバッキ―」
今回は潜入任務だ。パーティの招待客として入りこみ、首尾よく目的の情報が得られればそのまま離脱。揉めたときには強行突破になる。
スティーブから見てバッキ―は強行突破部分については心配なかった。だが気になるのはその前だ。ヒドラの洗脳は解けたとはいえ、心的ダメージはまだかなり大きい。アベンジャーズ基地の中でさえ、ほとんどスティーブ以外の相手とろくに日常会話もしていない。それがいきなりパーティーとは。
「心配なのはわかるが、過保護過ぎるぞキャプテン」
「これが彼向きの任務か疑問なだけだ」
ローディーの言葉にむっつりと返す。言った途端にその場にいた全員が「あーあー」と言いたげな顔をするが無視だ。
すっきり整えられた容姿が昔に近い分、無表情と鈍い反応は余計に目立つ気がした。
と、そこで当のバッキ―がすいっと前に出てきて、ポンと軽くスティーブの肩を叩く。

「大丈夫。主賓ならともかくただの客だ」
「バック!?」
スティーブは掛け値無しに驚いたが、周囲も負けず劣らず驚いた。誇張なくこれまで「YES」[NO」程度の一語文しか話さなかったのだ。
「どうしたんだ一体。急に良くなったのか?」
驚きと喜びで動転しながらスティーブがバッキ―の肩を掴むと、アイスブルーの眼がパチリと瞬きをした。瞼が開くと一瞬で朝見た通りの暗い瞳に変わる。
「ミッションだ。遂行に問題ない」
「バッキ―!」
全然問題なくないだろう。スティーブは声を荒げたが周囲は妙に納得したようだった。
「なるほど。ウィンターソルジャーはそういう任務にもついていたのか」

そういうこと。ほら、配置について。
ナターシャが促すとバッキ―は口角を少し上げ、身体の重心をずらす。それだけでやたらと軽い雰囲気の男に見えるから不思議だった。

「よし、試そうぜ。『やあ、久しぶりだな』」
「『先週のパーティーで会ったっけ?』」

「良かったらこっちで飲まないか」
「『ありがとう。悪いが連れが気分が悪いみたいなので見てくるよ』」

「何のつもりでここに来た」
「『ただ酒目当て。君は?』」
適当に話しかけるサムに、微笑みの形を作りながらバッキ―が淀みなく返す。

「長時間は無理だけど、パーティーくらいならね」
「なるほどな。機械に会話のデータを入れて選ばせる要領なわけだ」
肩をすくめるナターシャにトニーが納得して頷いた。
「さっき試したけど結構ヴァリエーションあるわよ」
「コスプレ遊びもできそうだな」
「実際したかもしれないわね」
悪趣味な冗談のつもりだったトニーは、真面目に返されてぎょっとする。したかもしれないって誰がだ。ヒドラか。それ以外選択肢が無いのが嫌過ぎる。

ちらりと振り向いた背後では、予想通りスティーブが難しい顔をしている。
「おい落ち着けよ爺さん?ロマノフの挑発はいつものことだろう」
「コスプレ遊びとはなんだ」
「………」
そこからか。

不穏の種を蒔くだけ蒔いてナターシャ達が出かけた後、残ったメンバーはスティーブからの、
「それでコスプレ遊びとは何なんだ」
という粘り強い質問に悩まされることになった。

 

終わる

 バッキ―のスーツ姿に皆うっとり…ってネタにしたかったのに何か変なことになったなあ。
そしてまたステバキと言っていいのか分からん物体になった。が、心の底には常にステバキがあるのですほんとです。 

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