例えば、温氏が隕鉄集めとかしないでいたら。
親子そろって偉そうにしてるんだろうけど、めったに関わらないから大事無い。

姑蘇藍氏の座学に行った江氏の姉弟は、予定通り蓮花塢に戻って、魏無羨は「雲夢双傑」の約束を守る。
師姐はしばらく雲夢にいてもいいなあ。
クジャクが色々口実をつけて通ってきては双傑に邪険にされるといい。

そして、何かの用事で藍湛が来る。最初は「珍しいなあ！」とか魏嬰が喜んで話しかけたりあっちこっち雲夢を案内しようとしたりするんだけど、その後ちょくちょく来る。
来方がクジャクと似ている。
「………」
顔を見合わせる双傑。
もしや、藍忘機も師姐狙いでは！
師姐の方を挨拶の時くらいしか見ない藍湛の様子を知っているのに姉馬鹿の弟たち。

「クジャクも気に食わないが、含光君と兄弟になるのも嫌だ」
とぶつぶつ言う江晚吟と、
「いや、絶対に藍湛の方がいいだろう」
と言いつつ藍忘機と師姐が結婚するかもとか考えたらなんかショックな魏無羨。
しかしハラハラヤキモキする弟たちをしり目に、藍忘機が師姐に近づくことはその後もなく、ただやっぱりその後も使いに来たり、宗主の代理の用事できたりする。
ある時の帰り際に魏無羨が、
「送るぜ！」
と隣を歩いてると、藍忘機が前を向いたまま、
「時間はあるか」
とか言って夜狩に誘ったりする。
一回同行したら、その後何度も行くね。夜狩以外にも魏無羨が街に連れ出すのにつきあうようになったりもする。そのうちさすがに周囲が気が付きだす。本人以外。
魏無羨は気が付かないけど、藍忘機と一緒に行動するのが楽しくて、もしも師姐と結婚しちゃったら、こんな風に一緒に遊べないよな、と思うとやや苦しくなったりする。

虞夫人なんかは最初、
「家僕の子に会いに来るために、江家の者の手を煩わせるとは」
とか、
「雲夢江氏が育ててやった家僕を姑蘇藍氏が持っていこうというのか」
みたいなことを言って口をゆがめてらっしゃるんですが、含光君があまりにも視線は雄弁だけど口は一切動かないで手も触れない。で、魏無羨の傍にいるだけでなんか嬉しそう（そして魏無羨は嬉しそうにうるさい）な様子が延々と続くのを見ているうちに、
「何なのあれは。意気地のない。さっさとはっきりすればいいものを」
とか言うようになる。江宗主は「うーむ」とか目を細めてみてそう。
延々ともだもだしていてほしいなあ。