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洋画、洋ドラマ色々について腐的にブツブツいうファンサイト
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三日目〜
「で、上映会?」
なぜかアベンジャーズの面々にも見せてやるというので、基地にいたメンバーはぞろぞろと部屋に集まった。
灯りを落とした部屋に、四角いスクリーンが白く光る。
「…ああ」
ものの数秒で、スティーブが納得したように呟いた。
映し出されているのはスティーブがいわゆるマスコットだった時代の映像だ。国債集めのショーがモノクロの画面で流れる。
いかにも手縫いっぽい星条旗の衣装で国への奉仕を求めるキャプテン・アメリカ。ずらりと並んだ踊り子たち。
「感想は?」
トニーが何となくにやにやしながら振り返るのに、スティーブは少し笑ってみせる。
「懐かしい」
安っぽいタイツ姿で踊っている時は、正直自分をみっともないと思ったときもあった。
だがこうして生まれた時代を遠く離れてしまってから見ると、ただただ懐かしい。スミソニアンで使われていた記録映画はあまりにも繰り返し見過ぎていたので、新しいあの頃の記録は単純にうれしかった。
「初めて観た」
と呟いたのはバッキ―だ。普段無口でほとんど口を開かない彼にしては珍しい。
「あの頃、お前俺が観たいって言っても見せなかったよな」
舞台の上でダンサーごと二輪車を持ち上げてみせているアメリカの象徴を指さす。
「実物が近くにいただろ。コスチュームも着てた」
「音楽とダンサーがいなかった」
「贅沢言うな」
「まだ、あの勧誘文句言えるのか?」
「うるさい」
「…なんだつまらん」
嫌がる反応を期待していたらしいトニーは肩をすくめる。
「なんか元気だな」
「老人ホームでの懐メロ効果みたいなものじゃないの?」
辛辣な描写をするナターシャに、スティーブは苦笑する。だが、古いフィルムを見た瞬間の『自分のホーム』を見たような感覚と、洗脳が解けた後も自分の殻に閉じこもりがちなバッキ―が昔に少し近いような軽口を叩いたことがむやみやたらにうれしかった。
その後スティーブが嫌がった後のフォロー用だったらしいハウリングコマンドーを率いた時代の記録映像が投影され、興奮したスコットが今さらスティーブにサインを求め始めた辺りで、上映会はお開きになったのだった。
終わる。
今日はステバキというよりアベネタであった。