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どうにも停滞していかんので、ちょっとずつ書いちゃえ!
投獄されてからの看守の態度は様々で、大戦の英雄にはっきりと敬意を示すものもいれば、無表情に淡々と接する者も、まれにはことさらに囚人として扱おうとする者もいた。
中には1度スティーブを「S186」とあえて囚人番号で呼んだ看守もいたが、あっという間に管理者の耳に届き早々に姿を消した。が、どれもスティーブにとってはさして重要なことではなかった。
「後ろを」
特殊手錠を出しながら促されて、微かに眉をあげる。
独房から出されるときは、着けるのが規則ではあったが、ここのところずっと例外的扱いが続いていた。
「面会者は誰だ?」
相手に対して自分が暴れるとでも思われているのだろうか。看守を見据えて尋ねるが、
「私からは何とも」
としか答えない。戸惑った顔をしつつも譲らぬ看守に、黙って両手を後ろに回しつつ背を向けた。
廊下を歩いて面会室に向かう。透明な強化ガラスの向こうには良く見知った顔があった。
「トニー」
「あー…、元気か?」
相変わらず安そうに見えて高い服を着込んだトニー・スタークが、気まずそうな顔で片手をひらひらと上げた。スティーブはいつも思うが、世間的立ち位置の割に表情を繕うことが苦手な男だ。それでいて政治、経済、軍事に大きな影響力を持つに至っている。
「元気だ。君は?」
「憎まれっ子世に憚るだ」
スコットに聞いた刑務所は面会室で電話の受話器を使うらしいが、ここでは支障なく話ができる。床に固定された椅子までスティーブを誘導した看守が、そのまま部屋を出ようとするので呼び止める。
「待て。これを外せ」
言われてためらう看守を、壁の向こうからトニーが促す。
「外してくれ。キャプテン・アメリカは今さら私の顔を見たからといって激昂したりはしない」
アベンジャーズの内戦は、私怨ではないといくらいっても周囲はそうは見ない。何度言っても有力者に万が一のことがあってはという懸念なのだろう。
『キャプテン・ロジャース。手錠を外すがガラスに手を触れないように。触れた瞬間に部屋中に電流が走るからそのつもりで』
監視室からのマイクで念を押されて頷く。看守が出ていくと改めて久々に向かい合った。
「何か必要なものはないか」
面会に来る相手は、大体においてそう訊いてくるが、スティーブは
「大丈夫だ」
と頷いた。差し入れをもらったところで刑務所側に没収されてしまうのでは意味がない。
「物品よりも情報が欲しい」
そういうとトニーの表情がすっと硬くなる。立場上当然だが、スティーブとしては使えば消える物品よりも独房では知りえない外の様子の方が重要だった。
「ものによる」
「バッキ―のことだ。治療はどう進んでいる」
それが投降の条件だった。
前後脈絡なくここまで